アメリカ人の写真家、オリヴィア・ビーが、ダンスフェスティバル「ダンス リフレクションズ by ヴァン クリーフ&アーペル」の様子をとらえた作品を紹介する展覧会「その部屋で私は星を感じた」展が、京都・祇園のギャラリー「Asphodel」で開催されている。会期は11月16日まで。
本展は、コンテポラリー・ダンスのフェスティバルである「ダンス リフレクションズ by ヴァン クリーフ&アーペル」の一貫として、「KYOTOGRAPHIE 京都国際写真祭」と共同で開催されるもの。これまで各国で開催されてきた「ダンスリフレクションズ by ヴァンクリーフ&アーペル」にて、ビーが舞台の内外で振付家やダンサーをとらえた写真が展示されている。
オリヴィア・ビーは写真家/映画監督。2016年、22歳のときにモノグラフ「Kids in Love」を発表。「Forbes30 under 30」「PDN 30 Under 30」「Flickr 20 Under 20」を受賞するとともに、『Outside』誌での活動に対して米国旅行作家協会から特別賞を贈られている。
作品は会場の2階と3階で展示。2階は黒い壁で囲われており、まるで公演の舞台のような印象を受ける。スポット照明がステージのようにダンサーたちの躍動する身体をとらえた作品を照らしており、これまで世界各国で行われてきた公演における様々な瞬間が、ビーの感性で写し取られた。
3階の会場は、自然光が入り込むホワイトキューブとなっている。中央には鏡が配置されており、展示されている写真が無数に映り込むことで、空間に広がりが生まれている。
ビーが被写体とするのは、ダンサーだけではない。そのレンズは例えば楽屋に置かれた机や椅子、ステージの床や照明のゆらぎにも向けられている。身体が不在であっても、そこにパフォーマンスがあったことが物語られるこれらの作品は、写真という静的なメディアならではの、間接的だからこそ伝えられるものを教えてくる。
会場における作品の展示方法にも注目してもらいたい。今回は様々な大きさでプリントされた作品が、ダンサーたちの運動性と呼応するように、ときに高さや大きさを変えて並べられている。また、大きく引き伸ばされた写真は粒子のざらつきを視認できるが、これもステージにあった空気感を如実に伝えているといえるだろう。
「ダンス リフレクションズ by ヴァン クリーフ&アーペル」のこれまでの軌跡を、ビーの視線を通じて感じられる展覧会だ。