EXHIBITIONS

藤本由紀夫「BLOOM’S BROOM」

2024.10.26 - 11.22

メインヴィジュアル

 シュウゴアーツで、藤本由紀夫による個展「BLOOM’S BROOM」が開催されている。

 本展で藤本は、ギャラリーに800枚の素焼きタイルを敷き詰めた作品《BROOM(TILE)》を発表。この作品は観客がタイルの上を自ら歩き、その重みで徐々にタイルが音を立てひび割れていく過程により成立するようになっている。

 私たちの身体はつねに重力によって地球の表層に触れ、摩擦や振動によって様々な音を生じさせている。タイルの作品は、2002年にイギリス西南部にある窯元の街、セント・アイヴィスのギャラリーで発表され、その後西宮市大谷記念美術館、美濃を舞台にした「土から生える」アートプロジェクトなど様々な場所で形を変えて制作されてきた。東京では初めての発表となり、来場者が作品に参加することのできる機会となる。

 また、本展では、藤本が長年制作を続ける「SUGAR」シリーズの新作も発表。SUGARは角砂糖をガラスのチューブに詰め、回転させることによって徐々に砂糖がぶつかりあって崩れ、最後は真っ白な粒状の姿へと変化。

 藤本は、2メートル近い人工耳を通して周囲の環境や空間そのものを聴くための「CHAIR WITH EARS」や、溝のないレコードに貼られたラベルを視覚的に認知することで頭のなかで音楽を再生する「DELETE」など、1980年代より知覚に新しい感覚を引き起こす活動を続けてきた。本展では、重力や回転力という目に見えない自然の力によってレディメイドの人工物が別の姿へ変容していく様から、私たちが日常ととらえている事物のあり方に問いかける。