EXHIBITIONS

黒の中の色彩―カラーメゾチントを探る

版画集『Hamaguchiʼs six original color mezzotint』より《アスパラガス》 1978 カラーメゾチント 11.7 × 11.6 ㎝

 ミュゼ浜口陽三・ヤマサコレクションで「黒の中の色彩―カラーメゾチントを探る」が開催されている。

 浜口陽三は1909年和歌山県生まれ。1930年、東京美術学校の彫塑科を2年で中退し、フランスに渡る。第二次世界大戦勃発により帰国する1939年秋まで、現地で油彩、水彩、版画を制作。1950年頃から東京で銅版画に本格的に取り組み、1953年に再びパリに赴く。1955年頃、銅版画の新しい技法、カラーメゾチントを開拓し、その技法を使った作品により、国際コンクールで次々と受賞歴を重ねて活躍。1981年サンフランシスコに移住し1996年に帰国。2000年逝去。

 メゾチントは、17世紀にオランダで発明された印刷技術。黒の濃淡を彫り加減で表現する。カラーメゾチントは、黄、赤、青、黒のメゾチントによる版をつくり、刷り重ねてつくる方法。最小限の色数ですべての色彩をやわらかな質感で表現できる。

「誰も見たことのなかった色合いをこの世界に生み出す。それは芸術家の見果てぬ夢に違いありません。20世紀後半、浜口陽三は、銅版画によって成し遂げました。それは闇から浮かぶ、柔らかな色彩でした。この展覧会では、浜口陽三の銅版画とともに、その色を生む技法について映像と刷りの体験で紹介します。現実の世界にはありそうでない色を、ゆっくりとご覧ください」(展覧会アドバイス:中林忠良[東京藝術大学名誉教授]、展覧会ウェブサイトより)。

 本展では、技法確立までの簡単な過程や、武蔵野市吉祥寺美術館からの浜口陽三の彫った銅版(原版)を公開。浜口陽三の当時の刷り師による刷りの再現とインタビュー映像も紹介されている。