浜口陽三と3人の作家が想起させる「忘れられない、」なにか

銅版画家・浜口陽三の作品を常設展示するミュゼ浜口陽三・ヤマサコレクションで、企画展「忘れられない、」が開催される。出展作家は、浜口陽三、カロリーナ・ラケル・アンティッチ、前原冬樹、向山喜章の4名。会期は2018年1月16日〜4月15日。

浜口陽三 緑のさくらんぼ 1981-89 カラーメゾチント 7.7×5.7cm

 版画家・浜口陽三(1909〜2000)は、「カラーメゾチント」という独自の銅版画技法を編み出し、物体が光を帯び闇から浮かび上がるような独特の静物画を制作。多くの国際美術展で受賞を重ね、世界を代表する銅版画作家のひとりとして広く知られている。

カロリーナ・ラケル・アンティッチ 林の中のかくれんぼ 2007 麻キャンバスにアクリル 120×123cm © Carolina Raquel Antich, 2017

 浜口の作品を常設展示しているミュゼ浜口陽三・ヤマサコレクションでは、浜口と現代の作家を結びつける展覧会を継続的に行っている。今回は、さくらんぼや毛糸といった身近なモチーフを印象的に用いた浜口にちなみ、「忘れられない、」というタイトルのもと、身近なものを題材とし、鑑賞者に何かを思い起こさせるような作品を集めた展示を行う。

前原冬樹 一刻 (漂流物) 2005 木彫(檜、柘植、朴)、油彩 サイズ可変(全長およそ50cm)

 出展作家は、少年少女の姿を軽い筆致と透明感ある色彩で描くカロリーナ・ラケル・アンティッチ、日常で目にする事物や景色を、ユーモアを交えて写生するように彫刻する前原冬樹、画面からにじみ出るような光を、重ねた色彩とワックスによって表現する向山喜章の3名。作家ごとにコーナーを設けるのではなく、全体でひとつの空間をつくるように展示される。

向山喜章 Luminous ‒ Y 2010 紙に水彩、ワックス 38×45.5×2.5cm

 会期中には、作家による作品解説や、ワークショップ、サウンドパフォーマンスなどのイベントも開催される。

編集部

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