EXHIBITIONS

酒井建治「Like seeing this world for the first time」

メインヴィジュアル デザイン:八木幣二郎

 OIL by 美術手帖ギャラリーで、酒井建治による個展「Like seeing this world for the first time」が開催されている。

 酒井は、シルクスクリーンや油絵など多彩な技法による作品を手がけるアーティストだ。本展では、幾何学構成的に建造物や風景をとらえた新作絵画シリーズを中心に発表。新シリーズは、近年世の中で起こっている戦争や災害を通じて、自身の環境や過去への再認識をもとに制作された作品群となっている。

 酒井は、子供の頃に遊んだニキーチンの積み木や、スクラップ・アンド・ビルドが繰り返される建築物から着想を得て、再構築と変化をテーマに作品を制作した。キャンバス上の幾何学の図形は、不思議な質感や奥行きを感じさせるとともに様々な風景への見立てを促し、観者自身が歩いたり登ったりする行為を想像させる。

 酒井は「何度も再構築していくという行為、動き続けるというのは命のもっとも根源的な活動であって人を輝かせる。アルゴリズムでみんな同じものを見て感じる情報社会によって、人間が変化しなくなってしまう、動かなくなってしまうのはまずい気がするので居心地の良い安全な港から旅に出るような、新しい意識(世界)と出会い直すような展示にしたい」と話す。

 酒井の絵画は、現代社会における変化の重要性を呼び覚まし、新たな視点や意識との出会いを促すだろう。