EXHIBITIONS

大西麻貴+百田有希 / o+h展:⽣きた全体――A Living Whole

2024.09.04 - 11.24

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 TOTOギャラリー・間で「大西麻貴+百田有希 / o+h展:⽣きた全体――A Living Whole」が開催されている。

 TOTOギャラリー・間では、公共建築から住宅、福祉施設まで幅広く手がけ、日本建築学会賞(2023)やヴェネチア・ビエンナーレ国際建築展日本館キュレーション(2023)など、つねに注目を集め続ける若手建築家の展覧会を開催。

 詩人のT・S・エリオットは、「いままでに書かれたあらゆる詩の生きた全体(a living whole)」が詩の概念だという考えを提示し、現在は過去によって導かれながらも、新しい詩が挿入されることによって過去は変化し、新しい複合体となり、そこに伝統が成立すると説いた。*

 大西と百田は、建築をつくることは、その建築を含む「生きた全体」を考えることだと述べている。彼らが建築をつくるとき、多様な背景や特性を持つ利用者や地域の人々の声、その土地に伝わる物語にまで耳を傾け、人の営みを丁寧に拾い上げながら建築に翻訳してきた。

 日本建築学会賞(作品)を受賞した児童遊戯施設「シェルターインクルーシブプレイス コパル」では、スロープが車椅子を含むすべての人の動線でありながら、同時に子供たちの遊び場でもあるように、一部分だけを取り出すことができない複雑な総体を生み出している。

 本展では、彼らの作品や人の営みが織りなす「生きた全体」がどう建築の風景として立ち上がってくるのか、模型や言葉、インスタレーションなどで紹介する。本展を通じて、o+hの眼差しと世界観を体感してみてほしい。

 *出典:T・S・エリオット『文芸批評論』(原著1938、矢本貞幹訳、岩波書店)