OKOKUME「SAÓ」

　JPSギャラリーで、スペイン出身のアーティスト・Okokumeの個展「Saó」が開催されている。

　展覧会のタイトルは、カタルーニャ語の古い言葉「Saó」に由来しており、成熟、完璧、好機の本質や、実を結ぶのに不可欠な大地の潤い、四季の循環的な性質も表している。Saóのコンセプトは、アーティストの内省的な探求と、人生の意義深い瞬間を讃えるための痛烈なテーマの枠組みとして重要な役割を果たしている。芸術を通して、Okokumeは観者に自己反省と思索の個人的な旅に出るよう誘い、平凡のなかに美と意味を見出し、変容の力を受け入れるよう促す。

　本展では、人生の旅を象徴する「紙のボート」をモチーフにした3連作を展示。この3連作では、筆致や色彩の選択一つひとつに作家の感情や経験が込められており、観者の心に響く視覚的な物語をつくり出す。さらに、「Granotes」（カエル）と 「Días de Verano」（夏の日）は、Okokumeが大切にしてきた川辺での家族の思い出を呼び起こし、愛する人と過ごす夏の日の無邪気さと喜びを表現。これらの作品を通して、観者に記憶や経験との再会を促し、人生をかたちづくる瞬間を大切にし、祝うことの大切さを思い起こさせてくれるだろう。

　また、本展の中心には、「受容」「回復力」「幸福の追求」というメッセージがある。恐怖を成長のきっかけとして大切にし、いまこの瞬間を生きることで真の幸福を見出すよう、観者を鼓舞し、過去の重荷を解き放ち、不安な瞬間を受け入れることで、観者がそれぞれの旅を受け入れることに慰めや強さ、美しさを見出す力を与えられることを願っている。