EXHIBITIONS

秋吉風人「Godchildren」

2024.06.22 - 07.27

©︎ Futo Akiyoshi Courtesy of TARO NASU Photo by Hayato Wakabayashi

 TARO NASUで、秋吉風人による個展「Godchildren」が開催されている。

 本展では、秋吉風人が2020年から2022年にかけて制作した29枚の絵画が計29名のキュレーターと美術批評家へ1枚ずつふり分けられ、その1枚にまつわるテキストの執筆と作品タイトルの命名を依頼。

 29名の執筆者は、天野太郎、飯岡陸、飯田志保子、石田大祐、大坂紘一郎、金井直、兼平彦太郎、北川智昭、木村絵理子、腰原慶子、沢山遼、角奈緒子、副田一穂、千葉真智子、堤拓也、中尾拓哉、中川千恵子、中村史子、成相肇、西田雅希、能勢陽子、野中祐美子、長谷川新、服部浩之、原田美緒、三上真理子、森啓輔、山本浩貴、渡辺亜由美。

 執筆にあたり29名が秋吉から得られる情報は、実見、もしくは画像による作品の確認と、サイズ・素材・制作年についてのみであり、それ以外の作品に関する背景や詳細は一切明かされない。また、テキストの文字数や形式は自由であることに加え、執筆者による作品タイトルおよびテキストは、各々が執筆を担当したその1枚の絵画とともに作品の一部として展示されることが前提となる。

 上記の依頼内容により秋吉は、29名の書き手に原稿作成を依頼した。本展で展示されるのはその秋吉の描いた29点の絵画と、その作品が喚起して執筆された29本のテキストである。作品とテキストの関係性、例えば両者をどのような位置づけでとらえるべきなのか、あるいは個々の作品と全体との関係など、依頼文に記された以外の枠組みや本プロジェクトの構想の前提を秋吉は積極的には言及しない。鑑賞者に委ねるつもりかどうかすら、本人の確言はない。

 本展では、テクノロジーの進化による情報のコントロールと一定の方向づけの問題が取り沙汰されて久しい現代において、秋吉の新作は、絵画という出来事をめぐる「こと」の生成と発展について改めて問いかける起点のひとつになりうるのか検証する。