秋吉風人が個展で新作を発表。社会のなかで人間が享受する自由とは、果たして本当の自由なのか?

美術家・秋吉風人の個展「We meet only to part」が、東京・東神田のTARO NASUで開催される。本展は、秋吉の7年にわたるベルリンでの個人的体験を暗示しながら、「個人と個人」「個人と社会」の関係性を見出した新シリーズで構成されるもの。会期は8月31日〜9月29日。

秋吉風人 "1. 17 / 4. 17" 2018 © Futo Akiyoshi Courtesy of TARO NASU

 秋吉風人は1977年大阪府生まれの美術家。2001年に名古屋芸術大学美術学部絵画科洋画コースを卒業、03年に同大学大学院美術研究科を修了した。11年からは文化庁新進芸術家海外研修制度でベルリンに滞在し、18年に帰国。現在は名古屋を拠点に制作活動を行っている。

 これまでのおもな展覧会歴に「絵画の庭─ゼロ年代日本の地平から」(国立国際美術館、2010)、「あいちトリエンナーレ」(愛知県美術館、2011)、「19th DOMANI」(国立新美術館、2016)、「視覚芸術百態-19のテーマによる196の作品」(国立国際美術館、2018)などがある。

 秋吉は、自身の制作においてルールの設定、偶発性の導入、多様な技法の混合、制作過程の可視化、物質性の強調など、遊戯性の表現とも解釈できる手法を用いながら、「絵画を絵画たらしめるものとは何か」ということについて考察を続けてきた。美術以外のコンテクストをあえて排除するその徹底性は、秋吉独特の個性として評価を得ている。

 今回、東京・東神田のTARO NASUで開催される個展「We meet only to part : 逢うは別れ」では、社会における人間存在のメタファーともとれる要素を含んだ新作が展示されるという。

 新作は、社会的存在として一定のルールを許容しながらもなお、個人としての自由を希求しつづける人間の姿と重ねて制作されたもので、秋吉は作品を通じて「社会のなかで人間が享受する自由ははたして本当の自由なのか」を鑑賞者に問いかけることを狙う。ベルリンの多国籍社会で7年を過ごした秋吉自身の実体験を暗示しながら、「個人と個人」「個人と社会」の関係性を見出した新作群をチェックしたい。

編集部

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