工芸的美しさの行方 ―うつわ・包み・装飾

　TERRADA ART COMPLEX Ⅱ BONDED GALLERYで、特別展「工芸的美しさの行方 ―うつわ・包み・装飾」が開催される。

　アートがものの姿をとる以上、そこには技法・材料、制作動機としてのコンセプト、そして表現という3つの要素が存在する。一般的に、工芸は技法・材料をもとにし、現代アートはコンセプトをもとにしているが、それらの要素をオリジナルな視点から探求し、バランスよく制作された作品は、高いクオリティを持つ。

　最近では、工芸と現代アートが交差し、両方の特徴を持つ優れた作品が多く生まれている。工芸的なこだわりを持ちつつ、現代アートの表現力やコンセプトをあわせもつもの。本展では、工芸が基点でありながら、ジャンルを超えて制作をしている10名のアーティストを紹介。

　今回は「うつわ」形という工芸的な美しさをテーマにしている。この「うつわ」形は、造形芸術の視点から考えると、工芸のみに登場する特徴的な形態だ。それは単なる容器としての機能だけでなく、工芸的な形態の本質的な意味を含んでいる。

　例えば、容器を人体の形と関連づけ、口や胴などの名称を与えたり、器に手足を加えて直接人体の表現を行う。そこには単なる道具としての器を超えて、イメージと表現が加わった「うつわ」形が存在している。そして、さらに工芸的な特徴を発展させ、「包み」という概念や「装飾」という観点からも今回の展示は構成。自由な工芸表現を通して、その本質を問いかける新しい動向が紹介される。