陶芸作品を中心に、テキスタイル、版画などの多彩な仕事を行ってきた鹿児島睦の初の大規模展覧会「鹿児島睦 まいにち」展が東京・立川のPLAY! MUSEUMで開催される。会期は10月7日〜2024年1月7日。なお、本展は6月30日〜8月27日に大阪の市立伊丹ミュージアムで開催。2024年2月24日〜4月14日には静岡の佐野美術館に巡回する。
鹿児島睦は1967年福岡県生まれ。美術大学卒業後、インテリア会社に勤務しディスプレイやマネージメントを担当。2002年より福岡市内にある自身のアトリエにて陶器やファブリック、版画などを中心に制作し、日本国内のみならず、ロサンゼルス、台北、ロンドンなどで個展を開催してきた。作品制作のほかにも国内外のブランドへ図案の提供も行っている。また、国際的なアートプロジェクトへの参加や、空間への壁画制作など活動の幅は多岐に渡る。
鹿児島はイギリスの芸術家・思想家、ウィリアム・モリス(1834〜1896)を敬愛し、モリスと同じように人々の暮らしを日々考えながら作品をつくっているという。会場には、動物や植物をあしらったさまざまな色やかたちの約200点の器が、「あさごはん」「ひるごはん」「ばんごはん」と分けられた大きなテーブルや壁面に並ぶ。線彫りや蝋抜きなどの技法を使いながら、10色ほどの顔料で生物と草花がグラフィカルに描かれた皿は、その代表的な作品と言えるだろう。
また、国内外のファッション、インテリア、フードといった様々な領域とコラボレーションも実施してきた。京都の帆布かばん店「一澤信三郎帆布」や、スウェーデンの製陶工場「グスタフスベリ」と協業した作品をはじめ、新作を含む約100点のプロダクツや作品を紹介する。
さらに、鹿児島の制作活動そのものにも本展は焦点を当てる。造形作家だった祖父の影響を受け、美術大学で陶芸科を専攻し、インテリアショップで勤務したのち、2002年に陶芸家として独立した鹿児島。鹿児島が日々制作を続ける様子や、アトリエに飾られたアイテム、さらには制作の背景にあるものも紹介される予定だ。
加えて、鹿児島の絵と作家・梨木香歩の文で生まれた新作絵本『蛇の棲む水たまり』に関連した展示も実施。物語のなかに分け入るように言葉と器を展示し、新しい鑑賞体験を提案するという。