EXHIBITIONS

企画展

岡本秋暉 百花百鳥に挑んだ江戸の絵師

―摘水軒コレクションを中心に

2024.06.28 - 08.25

展示風景

 千葉市美術館で「岡本秋暉 百花百鳥に挑んだ江戸の絵師 ―摘水軒コレクションを中心に」が開催されている。

 岡本秋暉(おかもと・しゅうき、1807〜1862)は、濃厚華麗な花鳥画、とりわけ孔雀の名手として名を馳せた江戸後期の画人だ。彫金家・石黒家の次男として生まれた秋暉は、南蘋派の大西圭斎に画を学び、20代から絵師として活躍。いっぽう、小田原藩・大久保家に仕える藩士としての顔も持ち、江戸中屋敷での見回り役を務めながら精力的に制作を続け、同時期に活躍した渡辺崋山や椿椿山らと親交を結ぶ。

 岡本が最も得意としたのは鳥の図。懇意の小鳥店に通い写生に励んだという逸話もあるほど、鳥の描写を研ぎ澄まし、透明感溢れる華やかな色彩と、羽の美しさを描き尽くす驚異的な技巧で江戸の人々を魅了した。

 18年ぶりの回顧展となる本展では、世界一の秋暉コレクションを擁する摘水軒記念文化振興財団の所蔵品を中心に、約100件の作品で、生い立ちから画業を通覧。細緻を尽くす花鳥画から、藩主の御殿を飾った杉戸絵、小田原が誇る偉人の肖像画《二宮尊徳座像》(報徳博物館蔵)まで、その作品群からは、自らを花鳥の画家として認識して技量を磨きながら藩士としての任も果たし、さらに同時代の画家達の活動に目配りしながら中国画の摂取に努める、堅実な画人の姿が浮かび上がる。

 岡本が生涯をかけて紡ぎ出した鮮やかな花鳥の楽園を堪能してほしい。