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不和のアート:芸術と民主主義 vol. 2

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 東京藝術大学大学美術館 陳列館で「不和のアート:芸術と民主主義 vol. 2」が開催される。

 2022年5月、新型コロナウイルス感染拡大が収束しつつある時期に、国際政治の急激な変容を受け、同館で「不和のアート:芸術と民主主義(The Arts of Dissent: Art and Democracy)」が開催された。同年の2月に始まったロシアによるウクライナの侵略はその象徴的な出来事であったが、その以前からナショナリズムや自民族主義、レイシズムや排外主義が広がり、権威主義的国家の台頭、暴力による政治的弾圧、少数民族の迫害、原理主義の拡大が進んでいた。この状況に対して、どのようにアートが関わることができるのかを考えようとしたものとなった。

 昨年、ハマスによるイスラエル攻撃をきっかけにしたイスラエルのパレスチナ攻撃は、その後激化の一途をたどり、パレスチナの多くの市民が犠牲となっている。これを受け世界の二分化が進み、もはや合意形成ができない状況になっているように見える。

 アートも例外ではない。2021年「ドクメンタ15」で起こった「反ユダヤ主義」をめぐる議論はその後も終わることがない。ナショナリズムや排外主義が広がるいっぽうで、権威主義国家による暴力的な民主主義の弾圧はますます激烈なものになりつつある。これを受け、アートの世界も政治をめぐって機能不全に陥っているようにみえる。

 この時代にアートは何ができるのか。本企画「不和のアート:芸術と民主主義 vol. 2(The Arts of Dissent:Art and Democracy vol. 2)」は、政治、とくに民主主義と芸術との関係を議論する一時的な場をつくろうというもの。このあいだの国内外の芸術と民主主義を巡る議論を踏まえつつ、展示やパフォーマンス、ディスカッション、ワークショップを迎え、この危機的な状況において何ができるのかを考える。

 参加作家・プロジェクトは、Watermelon Alliance、DJ Sniff、藤嶋咲子、さすらい姉妹、Punk! The Revolution of Everyday Life、The Rebel Riot、高崎英樹、久保田徹、レオニダス・マルティン、Larissa Wang、DANNY JIN、ドキュ・アッタン、ピオトル・ブヤック、イネス・ジャスミン、Visit Palestine Project、砂守かずら、ほか。