ロビン・F・ウィリアムズ「Undying」

　ペロタン東京で、米国・ブルックリンを拠点に活動するアーティスト、ロビン・F・ウィリアムズの日本初個展「Undying」が開催されている。

　本展は、新作絵画とドローイングを通して、様々なジャンルの映画に見られるインティマシーの心理的次元を探求するものだ。描かれたシーンには、ときに艶めかしい柔らかさ、またときには性的関係の余韻の瞬間がとらえられている。いずれも、執着的な関係を形成する支配、逸脱、服従の力学を探りながら、内在する性的主体性の曖昧さをも描いている。

　ウィリアムズ自身、その鋭い観察眼のもと、「Undying」の制作過程において、映画のなかにある"絵画"、すなわち物語と構図が感情に訴えかける力へと結晶化した瞬間を探した。その産物として映画のスチール写真をもとに描かれた絵画には、儚い性的な交流の域を超えた、一種のファン・フィクションとしての存在感が示される。

　ウィリアムズは、色と色のエロティックな戯れとそれらが完全に重なりあい灰色となって消え去る様や、"オンリー・ガール"と"ファイナル・ガール"、不滅の愛のロマンスとアンデッド（死なない者）に対する恐怖など、それぞれの紙一重の境界線を描いている。絵画には曖昧性があるにもかかわらず、ウィリアムズは題材となった映画について「結局は、すべて悲劇です」と皮肉のように指摘。「Undying」の作品群は、自己決定と自己破壊の狭間を綱渡りしながら、優れたファン・フィクションのように、つねに別の結末があり得るという瞬間的スリルと魅惑のなかに架空の被写体とリアルタイムの鑑賞者双方をとらえるだろう。