EXHIBITIONS

坂本友由「手前のものさし」

2024.05.08 - 05.25

坂本友由 手前のものさし 2023 273 × 455 mm アクリル、キャンバス

 Gallery MUMONで、坂本友由による個展「手前のものさし」が開催されている。

 坂本友由は、おもに可愛らしい少女をモチーフにしながら、皮肉やブラックユーモアを含ませた表現で現代に生きる人間のリアルな現実や心象を描いてきた。現代の社会が抱える矛盾や残酷さ、悲喜劇などを、少女を媒体としてコンセプチュアルに表現している。

 本展では、SNSの普及などにより過剰ともいえる情報の受発信が可能となった今日における、自己と自身の周りの他人、匿名の他者、それぞれの価値観を巡る窮屈な現在の日本の状況を文房具などのアイテムを見立てとして取り入れながら描写。

 坂本は本展に寄せて次のように語っている。

「手前。1.一人称の人代名詞。わたくし。2.二人称の人代名詞。てめえ。一人称なのに二人称でもあるなんて、ほんと日本語はややこしいものです。 手前の主張は私の物差しから発せられるもので、それに抱くあなたの感情もまた手前の物差しで測ったもの。共感できればバズりもするし、不快に思えば炎上です。そんな主張も、違う誰かの物差しで切り取られたり、貼られたり。そいつを見つけたまた違う誰かが手前の物差しで測り出す。いよいよ切り刻まれたそれなのに皆こぞって正しさを求めようとするなんて、ほんと日本はややこしいものです」(展覧会ウェブサイトより)。