EXHIBITIONS

ティモ・ハーブスト「Ephemera」

2024.04.26 - 05.25

© Timo Herbst Zipper Merge 2024 Pencil on Japanese Paper 39 x 31 cm Courtesy of KEN NAKAHASHI

 KEN NAKAHASHIでは、ティモ・ハーブストの個展「Ephemera」が開催されている。

 ティモ・ハーブストは1982年ドイツ生まれ。ブレーメン大学で哲学と文化学を専攻したあと、ライプツィヒ視覚芸術アカデミーで美術を学ぶ。ドイツ政府によるパリ国際芸術都市でのフェローシップや、フィミンコ財団でのレジデンス・プログラムを経て、現在はパリを拠点に活動。作品はドレスデン美術館、ゲッピンゲン美術館、アートテック美術館、バウハウス・ミュージアム・デッサウなどにコレクションされている。

 ハーブストは、芸術、日常、政治の領域における人体の動きや動作の構成要素に注目し、集団の行動や記憶から浮かび上がる身体的表現の重要なイメージを取り込みながら、ドローイング、映像、彫刻などを駆使したマルチメディア・インスタレーションを数多く制作してきた。とくに活動の初期から制作を続けつねに進化するドローイングは重要な実践となっている。2つの異なる時間軸や表現方法の図像がレイヤー状に重ねられているのが特徴で、「1つの作品にはつねに2つのストーリーがあり、それぞれの状況や出来事のあいだに共通点を見出すことができる」とハーブストは述べている。

 作品では、抗議行動のジェスチャーのライブラリーのようなものを確立し、これらの動きが美術というメディアによってどのように伝えられ扱われてきたかを示すことで、観者を行動の中心に据えることを目指している。同廊での初の個展となる本展は、初期のドローイングのほか、《Ephemera》の継続的制作である新作のドローイングから、約10点を厳選して公開している。