EXHIBITIONS

川田喜久治「ロス・カプリチョス あしたのデーモン」

2024.04.15 - 06.01

© Kikuji Kawada, courtesy of PGI

 PGIで、川田喜久治による個展「ロス・カプリチョス あしたのデーモン」が開催されている。

 川田喜久治は、1956年の『週刊新潮』創刊からグラビア撮影を担当し、その後フリーランスとして60年以上写真を撮り続けてきた。敗戦という歴史の記憶を記号化し、メタファーに満ちた作品「地図」(1965)や、天体気象現象と地上の出来事を混成した黙示録的な作品「ラスト・コスモロジー」(1996)などは、代表作とされる。

 1990年代終わり頃より、デジタルでの作品制作も意欲的に行い、「カー・マニアック」(1998)を皮切りに、都市に現れる現象をテーマに「見えない都市」(2006)、「2011– phenomena」(2012)、「Last Things」(2016)と継続して作品を発表してきた。作品は、日本のみならず世界でも高い評価を受ける日本を代表する写真家の一人で、国内外問わず、多くの美術館に作品が収蔵されている。

 「ロス・カプリチョス」シリーズで川田は、刻一刻と姿を変える雲と、理性の眠る闇に光る月のなかに、いまの社会を投影している。また、カーマニアックをはじめ、川田作品において様々な作品で強い印象を残してきた車窓からの光景が、本作ではさらに執拗さを持って観者に迫ってくるだろう。自身の感覚のなかに時代の論理を見る、川田のきわめて個人的な視座がとらえた時間と世界は、いかにして観者の世界にシンクロしていくのだろうか。

 本展では、アーカイバルピグメントプリント34点が展示されている。