EXHIBITIONS

企画展

吉田克朗展―ものに、風景に、世界に触れる

「触」制作風景 1989 撮影:馬場直樹
© The Estate of Katsuro Yoshida / Courtesy of Yumiko Chiba Associates

 神奈川県立近代美術館 葉山で、企画展「吉田克朗展―ものに、風景に、世界に触れる」が開催される。

 多摩美術大学で斎藤義重に学んだ吉田克朗(1943〜1999)は、1969年から物体を組み合わせ、その特性が自然に表出されるような作品を制作し始める。このような作風を示す動向は後に「もの派」と称され、国際的に注目を浴びることになるが、吉田はその先鞭をつけた作家のひとりであった。

 やがて「もの派」の作風から離れた吉田は、1970年代から転写などの実験的な手法を試みながら絵画表現を模索した。1980年代前半には、風景や人体を抽象化して描く「かげろう」シリーズ、1980年代後半からは、粉末黒鉛を手指でこすりつけて有機的な形象を描く「触」シリーズを発表し注目を集めるが、その後、55歳で逝去。

 本展は、吉田克朗の全貌に迫る初の回顧展となる。これまでほとんど紹介されてこなかった作品や、作品プランやコンセプトを綴った制作ノートなどの資料を、調査をもとに展示。転換期を迎えていた同時代の美術動向に向きあいながら、自ら選択すべき道について真摯に問い続けた吉田克朗の制作の軌跡をたどる。

 ※会期中、一部展示替えあり。