EXHIBITIONS

特別展

植田正治と土門拳 −巡りあう砂丘−

2024.04.05 - 07.15

植田正治 土門拳と石津良介 1949 一般財団法人 日本カメラ財団 所蔵

 土門拳記念館で、特別展「植田正治と土門拳 −巡りあう砂丘−」が開催されている。

 写真史上初の2人展。よみがえる伝説の砂丘撮影対決。

 植田正治(1913〜2000)と土門拳(1909〜1990)はともに20世紀の日本を代表する写真家であると同時に、対照的な個性を持った作家としてしばしば比較されてきた。独自の演出的手法によって生み出される植田作品が「植田調(UEDA-Cho)」と称され国内外で高く評価されてきたいっぽうで、土門は「絶対非演出」を掲げたリアリズム写真の旗手として広く知られている。

 しかし2人は戦後まもなく写真雑誌の企画で鳥取砂丘における合同撮影会を行い、お互いの姿をレンズに収めるなど、その長いキャリアにおいてしばしば接点を持ってもいた。両者が多数の文章などに刻んだ写真美学からは、相違点のみならず様々な共通点もうかがえ、才能を持った2人のアーティストが戦後写真史を発展させてきた軌跡をも感じることができる。近年ではそうした視点から植田・土門の仕事をとらえ直す言説も少なくない。

 彼らの故郷である鳥取と山形(酒田)はともに「裏日本」と呼ばれ、広大な砂丘地帯を擁する地域である。本展タイトルにおける「砂丘」は、植田作品の代名詞であるとともに、両者の写真家人生が時に同じ場所で交差するものであったことを示している。本展では約220点の植田・土門作品を通して改めてその足跡を振り返る。土門作品については、約30点の初展示作品を公開。