構想計画所、古田裕、三田健志「TRACE, TRANSFER, TAKE A PICTURE」

　gallery fuで、構想計画所、古田裕、三田健志による展覧会「TRACE, TRANSFER, TAKE A PICTURE」が開催されている。

　20世紀初め、ピカソとブラックという2人の画家によって創り出された芸術運動・キュビスム。モチーフがバラバラに描かれる特徴的な作風は、色々な角度から見た同一のものを1枚の画面に描き込むという革新的な手法によって生まれた。物事とそこから想起される思考を多視点でとらえる行為は本展にも反映されている。

　構想計画所は、花崗岩とその風化物を素材とし、自然の摂理を多面的に映し出す。同時に、それは風化に抗おうとする人間の行為として、歪な時間の経過を写し出すことも試みる。

　古田裕は、物事を表裏でとらえ、その裏側に着目。そうして、そこに人間が介入することにより思いがけない姿を炙り出すことができることを提示する。

　三田健志は、画像データに記載された文字をデジタル上で扱える文字データに変換するOCR（光学的文字認識）技術を用い、自身がハワイで撮影した写真＝画像データを文字コードへと変換する。また、映像作品《Telepohoine & Facsimile》では、模刻し移し代える行為を編集された映像として提示。あるモノに人の手や外部要因が加わったとき、見た目は同じように見えても果たして同じと言えるのかどうかを私たちに問いかける。

　本展では、これらの作品から、物事の固定観念に囚われ、ひとつの角度からしか見ていなかった自分に気づかせるものとなっている。