いきものを「うつす」つくり手たちは何を見つめてきたのか。「いのちをうつす ―菌類、植物、動物、人間」が東京都美術館で開催へ

東京都美術館で上野アーティストプロジェクト2023「いのちをうつす ―菌類、植物、動物、人間」と、コレクション展「動物園にて ―東京都コレクションを中心に」が開催される。会期は11月16日~2024年1月8日。

 東京・上野の東京都美術館で上野アーティストプロジェクト2023「いのちをうつす ―菌類、植物、動物、人間」と、コレクション展「動物園にて ―東京都コレクションを中心に」の開催が決定した。会期は11月16日~2024年1月8日。

 同プロジェクトは、「公募展のふるさと」とも称される東京都美術館の歴史の継承と未来への発展を図るため、公募展に関わる作家を積極的に紹介するために2017年よりスタートした展覧会シリーズだ。今回の「いのちをうつす ―菌類、植物、動物、人間」展では、特定のいきものと分かちがたい関係を結び、数十年にわたり高い熱量を絶やすことなく、それらの姿を追いかけ続けた/続けているつくり手たち6名とその作品が紹介される。

 参加作家は、様々な土地に生息するきのこを探し描き続けている小林路子、明治末~昭和期の画壇で活躍するかたわら、少年期より草花を日々描き記録し続けた辻永(1884〜1974)、木象嵌職人として鍛え上げた手技により、日本におけるバードカービングの世界を切り拓いた内山春雄(1950〜)、詩的かつ実験的作風で戦後写真界に躍り出たのち、その後の半生をサラブレッドの撮影に捧げた今井壽惠(1931〜2009)、大学在学中に牧場で出会ったウシに魅せられ、酪農の現場で働きながらウシたちの存在を木版画に刻み続けている冨田美穂(1979〜)、世界各地の動物園やアフリカの野生に暮らすゴリラを追いかけ、心を交わし、描き記してきた阿部知暁(1957〜)。

 また本展では、視覚に障害のある方も作品をより楽しむことができるよう、手で触れて鑑賞する作品や触察ツールも一部展示されるという。

 さらに同館では、同時開催としてコレクション展「動物園にて ―東京都コレクションを中心に」も予定されている。

 動物を飼育・公開展示する施設である「動物園」は18世紀末のヨーロッパで誕生し、日本では明治期の1882年に上野に最初の動物園が開園した。

 本展では、主に東京都美術館に隣接する上野動物園という日本最古の「動物園」に焦点を当てながら、東京都立の美術館・博物館、またその他の施設や個人等が保管する、「動物園」に関わる作品・資料を展示。近代以降の動物園という空間から、人間と動物との関わり合いの様相をあらためてとらえなおす機会を創出するという。

編集部

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