公開制作vol.3　蓮沼昌宏 　制作、テーブル、道

　長野県立美術館で 「公開制作vol.3　蓮沼昌宏 　制作、テーブル、道」が開催されている。

　公開制作は、アーティストが一定期間美術館に滞在して作品を制作し、その制作過程や完成した作品を一般公開しているプログラム。会期中には関連イベントを開催し、来館者がアーティストと交流したり、作品制作を体験したりすることで、アートをより身近に感じてもらうことを目指している。

　2021、22年に続き第3弾となる今年度は、長野県塩尻市を拠点に活動するアーティストで写真家の蓮沼昌宏を招聘。蓮沼は、自身の経験や発見から物語を紡ぎ出し、絵画や写真、手回しの動画装置キノーラによるアニメーションなど、多様な形態の作品を手がけている。今年でアーティストとしてのキャリアが20年目を迎える蓮沼は、継続的に多数の展覧会やプロジェクトに参加し、その都度特定のテーマに沿った作品を制作・発表してきた。

　こうした背景のもと、蓮沼は今回の公開制作を制作そのものに向き合う期間とし、約3ヵ月にわたる制作期間ではゴールを定めずにひたすら手を動かすことにした。この間、蓮沼は、およそ1週間に1度のペースで美術館に滞在する予定。数多くの作品が生まれ、毎週のように変化していく会場の様子を楽しむことができる。

　また、後半の展示期間では、3ヵ月の間に生まれた作品で構成した展覧会が開催される。通常のつくり方とは逆順を辿ることになるこの展覧会は、作家、美術館の両者にとって一種の実験的な試みとなる。