EXHIBITIONS

特別展「太田省吾 生成する言葉と沈黙」

早稲田大学演劇博物館1階 特別展示室
2023.10.02 - 2024.01.21

メインビジュアル

 早稲田大学坪内博士記念演劇博物館で、特別展「太田省吾 生成する言葉と沈黙」が開催されている。

 太田省吾(1939〜2007)は、日本現代演劇を代表する演出家・劇作家のひとりである。「沈黙劇」と呼ばれるスタイルを切り拓き、新たな表現領域に挑み続けた太田の作品は、時代、地域、あるいは舞台芸術というジャンルの境界を越えて、数多くの人々を魅了してきた。後続世代のアーティストによっても新演出がさまざまに手がけられており、没後16年を迎えるいまなお、ますます大きな注目を集めている。

 展示空間に並ぶ、太田の遺した手稿、台本、舞台映像など多くの未公刊資料には、人間の生の一瞬をかけがえのないものとして希求し、時代に応答する表現を模索した深い思索を垣間見ることができるという。そして、その創造プロセスのなかで生成された「言葉」と「沈黙」には、大量の情報が瞬時に消費されていく現代社会と、そこに暮らし生きる私たちの姿を、透視する力が秘められている。

 本展は、貴重な演劇上演資料の紹介を通して、太田省吾の足跡が今の私たちに語りかけているものについて再考する試みとなっている。