EXHIBITIONS

特別展「日本画聖地巡礼 ―東山魁夷の京都、奥村土牛の鳴門―」

2023.09.30 - 11.26

速水御舟 名樹散椿 1929 重要文化財 紙本金地・彩色 山種美術館

現地写真 五色八重散椿第二世 写真:京都・椿寺地蔵院

 山種美術館で特別展「日本画聖地巡礼 ―東山魁夷の京都、奥村土牛の鳴門―」が開催されている。

 映画、小説、漫画やアニメなどの舞台になった場所を訪れる「聖地巡礼」。絵画でいえば、作品の題材となった地や、画家と縁の深い場所に赴くことが「聖地巡礼」にあたるだろう。

 例えば、速水御舟の代表作《名樹散椿》(重要文化財)は、京都・椿寺地蔵院の名木「五色八重散椿」を描いた作品だが、実際の姿と比べてみると、御舟が花や花びらの数を減らして大きくし、デザイン的に仕上げたことがわかる。現地の様子を知ることで、画家のまなざしを追体験するだけでなく、作品に込めた創意工夫を発見できる。

 本展では、鳴門海峡の渦潮を前に写生を繰り返した奥村土牛の《鳴門》、定宿から見える京都の町家の光景を描いた東山魁夷の《年暮る》、樹齢1000年以上といわれる福島県・三春町の「三春滝桜」を画題とした橋本明治《朝陽桜》をはじめ、北海道から沖縄まで、日本各地を主題とした日本画の優品を一堂に紹介する。

 画家が語った制作の経緯や現地でのスケッチ、さらには現地の写真もあわせて展示することで、画家たちが見つけたとっておきの場所、名画の「聖地巡礼」するような展覧会となっている。