EXHIBITIONS

山口幸士 SURFACE 展

山口幸士 Untitled 2023

 オン・サンデーズ&ライトシード・ギャラリーで、スケートボーディングを表現のルーツに持つペインター、山口幸士の新作による個展「SURFACE」が開催されている。

 山口は1982年神奈川県生まれ。街を遊び場とするスケートボードの自由で柔軟な視点に強く影響を受け、日常の風景や身近にあるオブジェクトをモチーフにペインティング、ドローイング、コラージュなど様々な手法を用いて独特な視点に転換する。初期にはスケート・スポットを主題に風景画の作品を制作するが、スケートボードでの靭帯損傷と地元スケーターとの会話を契機に、より日常に近い風景、ニューヨークに咲くバラの花、グラフィティが消された痕跡を残した壁などを描くようになる。18年に帰国し現在は東京を中心に活動している。

 スケートボーダーとして都市を視覚的、触覚的そして空間的に読みかえ、その風景を光と光を受けて反射する SURFACE(表層・表面)に還元する山口の絵画は、自然から人工物、意味を持つ存在から無意味に佇む得体の知れないものまでを等価になぞり、日々の生活から掬い上げる。本展で紹介する十数点の新作絵画はいくつかのシリーズに分岐した、山口の現在の多角的な視点を反映したものと言える。これまでにない大きなスケールの作品から、グラフィティやミュラルのように屋外で素早く描かれるペインティン山口の新たな試みを見ることのできる展覧会となっている。