蝸牛あや「夜間飛行」

　メグミオギタギャラリーで、蝸牛あやによる個展「夜間飛行」が開催されている。

　蝸牛は2001年に多摩美術大学彫刻科を卒業後、刺繍作品の制作し続けている。蝸牛は工芸品として見られがちな刺繍のなかに、作品性を持たせるような独自の表現を長らく模索してきた。そして近年では、高松市美術館や横須賀美術館での作品展示、また23年より巡回展「超絶技巧、未来へ ！明治工芸とそのDNA」（三井記念美術館）への出品を経て、現代刺繍作家の地位を全国的なものとしている。

　蝸牛は訪れた街や遺跡、見つけた石や貝、落ち葉などから着想を得て、長い年月をかけてかたちづくられるものと、多くの時間を要する刺繍の制作に自身の思いを重ね、詩的な想像力や感性を培いながら、日本に連綿と続く、自然から学ぶ精神を作品に具現化する。

　本展では刺繍の新たな表現的挑戦として、生地の柔らかさ、弱さも魅力として見せることを意図し真鍮枠に張った作品、また「自刻像」や「光を吸って」のように裏が透けて見える作品など、蝸牛の創作活動の集大成となる26点を展示する。