EXHIBITIONS

「色彩について:流 麻二果、ミヒャエル・テンゲス、ぺーター・トレンス」

About Color : Manika Nagare, Michael Toenges and Peter Tollens

2023.06.10 - 07.22

流麻二果 余波 Nagori 2023 photo by Ken Kato

 タグチファインアートで、流麻二果、ミヒャエル・テンゲス、ペーター・トレンスによる展覧会が開催されている。

 流は1975年大阪市に生まれ、97年に女子美術大学芸術学部絵画科洋画専攻を卒業。2002年に文化庁新進芸術家在外研修員としての渡米を機に08年までニューヨークに滞在し、04年には公益財団法人ポーラ美術振興財団在外研修員としてトルコにも滞在した。流は、各色をキャンバス上に薄い層にして伸ばし、乾いてから別の色の薄い層を重ねるという独自の手法によって作品を制作している。また日本固有の伝統色・顔料や染料についての研究を行ない、かつての画家たちの色使いを探求することで、自らの制作に役立てている。今回の展示では、流の最新シリーズ「In Between」から数点を展示する。

 テンゲスは1952年ドイツ・プファッフェンホーフェン・アン・デア・イルム生まれ。クレーフェルト造形大学を卒業後、80年から81年までデュッセルドルフ美術大学でフリッツ・シュベーグラーのもとで学び、現在はレバークーゼンとケルンを拠点に制作活動をおこなっている。テンゲスは、多様な色彩の絵具を彫刻的ともいえる厚みまで塗り重ねて作品を制作している。色彩の配置にはジョットーやフラ・アンジェリコ、ルーベンス、ベラスケスを初めとした巨匠たちの作品から影響を受けている。

 トレンスは1954年ドイツ・クレーヴェ生まれ。リトグラフ職人としての修行の後、81年までケルン工科大学でシュテファン・ヴェヴェルカに学び、現在はケルンを拠点に活動している。

 2018年にヴィースバーデン美術館で開催されたジョセフ・マリオーニの個展では、トレンスとテンゲスの作品が同時に展示されるなど、二人はドイツのラディカル・ペインティングの現在を代表する作家として位置付けられている。

 色彩に強い関心を持ち、独自の絵画表現を探求する3人の作家たちの共通点や相違点を通して、絵画の豊かさを感じることのできる展覧会となっている。