すべての筆致が独立した鮮やかな絵画。ミヒャエル・テンゲスの個展「紙の上の絵画 1995-2019」が開催中

ドイツの画家、ミヒャエル・テンゲスの個展「紙の上の絵画 1995-2019」が、東京・日本橋のタグチファインアートで開催されている。会期は10月12日まで。

ミヒャエル・テンゲス 無題 2018

 画家、ミヒャエル・テンゲスの個展「紙の上の絵画 1995-2019」が、東京・日本橋のタグチファインアートで開催されている。会期は10月12日まで。

 テンゲスは1952年ミュンヘン近郊のプファッフェンホーフェン・アン・デア・イルム生まれ。クレーフェルト造形大学を卒業後、80年から81年までデュッセルドルフ美術大学でフリッツ・シュベーグラーのもとで学び、現在はレバークーゼンとケルンを拠点に活動を行っている。

 テンゲスの絵画は、彫刻的ともいえる厚みまで塗り重ねられた絵具と色彩の幅広さが特徴だ。様々な色彩の筆致を幾重にも積み重ねながらも、先に塗られた色彩を完全には覆わず、それぞれ独立した個々の筆致として画面に残すため、色彩豊かな画面を保てるのだという。

 あるとき自身の関心が色彩の配置や対比、構成であることに気づき、イメージや形態から解放されたというテンゲス。それ以降、絵画を成立させる基本的な要素である色彩の構成や絵具の物質性の問題に取り組んできた。ジョットーやフラ・アンジェリコ、ルーベンス、ベラスケスをはじめとする巨匠たちの作品を模写し、つねにその色使いを研究しているというテンゲスの絵画には、中世からルネサンス絵画、そして身近に見て育ったドイツ表現主義の画家たちへと脈々と連なるヨーロッパ絵画の色彩感覚が息づいている。

 本展では、これまであまり発表されることがなかった厚紙を支持体とした油彩の小作品を展示。近作・新作に加え、95年の作品もあわせて見ることができる。キャンバス作品に向かう前の予備的かつ断片的な作品として位置づけられるこれらの作品を通じて、テンゲスの色彩構成についての実験をたどりたい。

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