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田幡浩一

Kouichi Tabata

 田幡浩一は1979年栃木県生まれ。2004年に東京藝術大学美術学部先端芸術表現科卒業、06年に同大学大学院美術研究科油画専攻修了。動的な要素を含む絵画作品や、絵画的制約をもって構成される映像作品などを制作している。代表作に、ペンのインクがなくなるまで蜂の絵を何百枚も描き続け、その過程を映像化した《bee》(2006)、てんとう虫やトランプなどのモチーフを写し取り、それらが分解・拡散していく様子を描いたドローイングシリーズ「track and trace」、ひとつのモチーフを2つの支持体にまたがって左右あるいは上下に描き、それを「ずらす」ことで完成するドローイングと油彩作品のシリーズ「one way or another」など。メディア間や支持体自体に存在する「ずれ」を通して、目の前にある対象のあり方をひとつにとどめず、流れた時間や空間をめぐって内包し得る、多様な図像を丁寧に浮かび上がらせる。

 主な個展に「マルメロと表裏」(Yutaka Kikutake Gallery、東京、2018)、「one way or another」(ギャラリー小柳、東京、2016)、「Scape」(大和日英基金、ロンドン、2015)、「trace of images」(ギャラリー小柳、東京、2011)。グループ展に、「新里明士、田幡浩一『in light-Ceramic and Drawing』」(Yutaka Kikutake Gallery、2019)、「その先へ - beyond the reasons」(駒込倉庫、東京、2019)、「Art meets04 田幡浩一/三宅沙織」(アーツ前橋、2017)、「J’en rêve」(カルティエ現代美術財団、パリ、2005)など。作品は東京都現代美術館、トヨタ・アート・コレクション、原美術館に収蔵されている。