国立国際美術館は、大阪万博で建設された万国博美術館を活用して1977年に開館し、2004年に現在の中之島エリアへ移転。日本では4番目の国立美術館であり、これまでに約8000点の作品を収集、260を超える展覧会を実施したほか、教育普及活動にも力を入れてきた。
二部構成となる本展は、積み重ねられた時間や歴史、記憶から社会の姿を浮かび上がらせる第一部と、パフォーマンスなどの時間の経過を伴う表現様式に注目し、美術館の未来の可能性を探る第二部で構成。展示室だけでなく、地下1階エレベーター前の廊下など、美術館全体を用いたかつてない規模の展覧会となっている。
今回は、マリーナ・アブラモヴィッチ、ヴォト・アコンチ、ジャネット・カーディフ&ジョージ・ビュレス・ミュラー、小泉明郎、ポール・マッカーシー、森村泰昌、大竹伸朗ら30組以上のアーティストが参加。ピピロッティ・リストが高松次郎の《影》(1977)に映像を投影した作品など、美術館の収蔵作品に着想を得たコミッションワークを展示するほか、会期中をとおして行われるパフォーマンスや、鑑賞者が参加することができる作品を展開。さらに、第4回ドクメンタ(1968)に出品されたロバート・ラウシェンバーグによる《至点》(1968)が、大規模な修復を経て再び登場する。
新たな試みにあふれた本展で、鑑賞者は時空を超えた「トラベラー」となり、自由に想像力をめぐらせることができるだろう。