坂本龍一は1952年東京生まれ、78年よりYMOおよびソロとして音楽活動を開始する。YMO散開後も海外を拠点に多方面に活動し、音楽活動だけでなく社会活動にも重きを置き、その思索は自然や根源的な生へと向かっている。また、近年では美術展や芸術祭への参加など、展示作品としてのインスタレーションといった新しい方法での作品発表が増えている。
本展は2017年4月にワタリウム美術館で行われた「坂本龍一|設置音楽展」に続く2番目の「設置音楽」シリーズとなる。展示される《IS YOUR TIME》は、アーティストグループ・ダムタイプおよびソロアーティストとして活動する高谷史郎とともに、本展のために制作した新作インスタレーション。
坂本は東日本大震災で被災したピアノに出会ったことで、「音楽の死」を感じたという。しかし、被災後も音を奏でるピアノにその印象を変えられ、前回の「設置音楽展」で発表されたオリジナル・アルバム『async』ではそのピアノの音を使用した。本展では『async』の音楽とともに、そのピアノを世界各地の地震データと連動させることで、地球の鳴動を感知させる新たなメディアとして扱う。