「バットシェバ舞踊団」は、1964年にマーサ・グレアムを芸術アドバイザーに迎え、バロネス・バットシェバ・ド・ロスチャイルドによって創立されたダンス・カンパニー。メイン・カンパニーと、若手のバットシェバ・アンサンブルの2つのカンパニーからなり、イスラエル国内外出身の40名のダンサーが所属。イスラエル国内をはじめ、世界中で年間約250公演を行い、観客動員数は毎年およそ10万人に及ぶ。
このカンパニーを率いるのが90年に芸術監督に就任したイスラエル出身のオハッド・ナハリンだ。ナハリンは80年に振付家としてデビュー。90年にかけて、2001年にがんで逝去した妻・梶原まりとニューヨークに住み、パフォーマンス活動を行ってきた。ナハリンが手がける作品は、ネザーランド・ダンス・シアターやパリ・オペラ座バレエ団など、世界中のダンスカンパニーやバレエ団で踊られており、現在、世界でもっとも注目される振付家の一人として知られている。
今回、ナハリンとバットシェバ舞踊団がさいたま芸術劇場を皮切りに、4都市で上演する『LAST WORK−ラスト・ワーク』では、シンプルな舞台の上で祈りや、ささやき、疾走など様々な人々の営みが繰り広げられる。ダイナミックな動きに宿る野性味と、繊細さ、そして身体が放つ生命の踊り。ダンスの可能性を極め続けるオハッド・ナハリンの現在形に注目したい。
なお、ナハリンの振付作品のリハーサルに密着し、独自のダンス・メソッド「GAGA(ガガ)」にフォーカスしたドキュメンタリー映画『ミスター・ガガ 心と身体を解き放つダンス』は10月14日よりシアター・イメージフォーラムでロードショーされる(その後全国で順次公開)。