平安時代から鎌倉時代にかけて、まるで生きているかのような写実性にあふれる像を制作し活躍した仏師・運慶(生年不詳〜1223)。源平の戦いを経て大きな変革が起こった動乱の時代に、奈良の興福寺や東大寺の復興に尽力するとともに、貴族のみならず新興勢力である東国武士からも依頼を受け多くの作品を制作した。
今回、運慶と縁の深い興福寺の中金堂が約300年ぶりに再建されるのを記念して展覧会が企画され、同寺が所蔵する作品だけでなく、日本各地に分散した運慶の仏像が結集する過去最大の展覧会が実現することとなった。
本展では、運慶自身の初期から晩年までの作品を通覧するとともに、父・康慶、息子・湛慶、康弁ら親子三代の作品を加え、運慶の作風の誕生と継承という視点から展示を構成する。
また、近年行われたX線CT調査によって得られた像内納入品の映像など、最先端の調査研究による新たな知見も紹介。さらに、多くの作品は、普段寺院では見ることのできない後ろ姿を含め、360度全方位から見ることができる。新たな運慶の魅力を発見できる展覧会となりそうだ。