彼は自分の作品に対し、極めて客観的な視点を持っている。他人から見てどう見えるかをつねに意識し、外からは見えない内部構造までつくり込んでいる。爪楊枝とストッパーでは劣化してしまう接続部には、磁石を仕込んで耐久性を持たせている。「お粗末なものが世に出たら、恥ずかしい」と語る彼は、世の中の職人たちの緻密な仕事に敬意を払っている。一度つくり終えると燃え尽きて辞めようと思うが、しばらくするとまた頭のなかに設計図が浮かび、制作をはじめてしまう。それは彼にとって、かつてはストレス発散の手段であったが、最近では純粋に楽しむものへと変化してきている。

卒業後は近所のスーパーマーケットでの勤務も決まった。最近では「朝食べないと体力が持たない」と自覚し、生活を整えられるようになってきている。「次はまた船をつくってみようかと思っています」 。早ければ3日ほどで一気に制作してしまうという驚異的な集中力。岩田大陸というひとりの若者が、自室で霧を晴らすようにつくり上げてきた「半機械」の生き物たち。それは、彼が過敏な感覚や生きづらさと向き合いながら、自分の手で世界を構築し直してきた軌跡そのものである。
取材後、SNSに投稿したところ、特にFacebookには5500件を超える「いいね」が付き、その反響が鳴り止まない。「素晴らしい」「圧倒されました」「一緒に展覧会がしたい」といった応援メッセージも次々と寄せられた。かつて「ママにはわからない」と孤独を深め、自分を守るために他者との距離感を取ってきた大陸くん。その彼が、自室の片隅で静かに生み出してきた「生き物」たちが、いま、多くの人々の心に勇気と感動を届けている。春から社会人として新たな一歩を踏み出す大陸くんにとって、これらの温かなエールは、彼が構築してきた独自の世界が、外の世界とも確かにつながっていることを証明する何よりの光となったはずだ。これからも彼は、自分にしか見えない「霧」を晴らしながら、誰にも真似できない命を吹き込み続けていく。



















