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グローバリズムが拡大するいま、作家個人が自分の中心点を見つけていくべき。上松祐司インタビュー

雑誌『美術手帖』の貴重なバックナンバー記事を公開。6月は、発売中の2021年6月号からニューヨークで活動する日本人アーティストの言葉を紹介する。本記事では、上松祐司の日本語記事では初となるインタビューを掲載。40年を過ごすニューヨークの街を日々歩いて制作された作品に迫る。

聞き手・文=藤高晃右

zip: 01.01.18 . . . 01.31.18 2018 ミクストメディア 各6.3×5.3×2.5cmCourtesy of the artist and Miguel Abreu Gallery, New York

 上松祐司は1956年神奈川県生まれ。80年にニューヨークに渡ってから40年を過ごし、ブルックリンに在住して活動している。

『美術手帖』2021年6月号では、NYを拠点とするアーティストにフォーカスし、現地で行われた上松のインタビューを公開。30年以上に渡り毎日制作し続けている上松の代表作「zip」の背景から、ロックダウン中のNYで得た実感まで、様々な話を聞いた。

異国での生活を作品にしてきた作家が語る、ニューヨークでの40年

 日々のファウンド・オブジェクトをジップロックにパッキングした「zip」シリーズで知られる上松。渡米後にアーティストを志してニューヨークを拠点に活動し、これまで国内では紹介の機会が少なかった作家は、どのようにそのキャリアを築いてきたのか。

音楽からモノの収集へ

 1980年にNYに渡った日本人アーティスト・上松祐司。遅咲きだが、2012年のギャラリー初個展でのデビュー以来、ホイットニー美術館新館開館展でコミッション個展を開催、ニューミュージアムでのグループ展にも参加。そしてローワー・イースト・サイドで大きな注目を浴びるミゲル・アブルーギャラリーに所属して作品を発表し続けている。代表作は路上で拾う小さなモノを日毎に造形してカレンダーにした「zip」シリーズ。現在はヨーロッパやメキシコなど世界各地で展覧会が続く。『ニューヨークタイムズ』、『アートフォーラム』など英語媒体での紹介記事は多数あるが、日本語記事は初めてという上松に話を聞いた。

「1956年生まれで、日本の大学の経済学部に行ったけど、中退。まだヒッピー・カルチャーが残っている時代で、ヒッチハイクで旅をし、音楽集団タージ・マハル旅行団の一員であった長谷川時夫さんが新潟県大池でやっていた自給自足の活動拠点に居候させてもらったりしていました。そのコミュニティのつながりで、フレンズ・ワールド・カレッジというNYの実験的な大学を知って、その京都分校に行ったんです」。

 そして1980年6月にNYの本校に入学。当初はフリー系の音楽が好きで、ヴィジュアル・アートには興味がなかったという。

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