スタジオ・オラファー・エリアソンのレシピ。「キムチ」

光を駆使した作品で知られるアーティスト、オラファー・エリアソン。そのスタジオの共同キッチンからは、様々な旬の食材を使用したベジタリアンレシピが生み出されている。この連載では、そのレシピをまとめた日本語版書籍『スタジオ・オラファー・エリアソン キッチン』から、全7回で自宅時間を豊かにするオススメのレシピを紹介します(材料は、スタジオ・オラファー・エリアソンのキッチンのための分量になっています。必要な分量に調整していただいても大丈夫です)。

「キムチ」
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キムチ

(材料)約11ポンド(4~5kg)分 

白菜……11ポンド(5kg)
海塩……7オンス(200g)+必要なだけ
大根(マッチ棒大に切る)……4 と1/2ポンド(2kg)
細ネギ(刻む)……10束

ペーストの材料

ハチミツ……大さじ5
ニンニク(つぶしてペースト状にする)……1球
新鮮なショウガ(皮をむいて細かくすりおろす)……手のひら大1個
コンブパウダー(コンブやワカメで代用できる)……3 と1/2オンス(100g)
パプリカパウダー……大さじ20
チリパウダー……大さじ1
ペーストを塗るときに使うゴム手袋

(つくりかた)

野菜を準備する

白菜を軽く洗う。茎の部分が残っていたら切り落とすが、葉を切ってしまわないように注意しよう。白菜は傷のない状態が望ましい。根元に深さ約1と1/2インチ(4cm)の切り込みを十文字に入れる。この十文字の切り込みの中心から、白菜を縦半分に引き裂く。さらに半分に引き裂いて4分の1にする。白菜を全部4分の1に引き裂いたら、塩をボウルに入れ、手でやさしく葉を分ける(葉は芯についたまま)。1枚1枚の葉の両側に、塩をすり込む。芯に近い葉の根元の厚い部分には、たくさん塩をすり込むようにする。大きなボウルの中で白菜を5時間休ませる。白菜をざるに入れ、絞らずに塩水が落ちきるまで待つ。

大根とネギを大きなボウルに入れ、塩と混ぜる。白菜の水分が出きったら、別のボウルに入れる。

ペーストをつくる

ハチミツ、ニンニク、ショウガ、コンブ、パプリカ、チリパウダーを、刃を装着したフードプロセッサーに入れる。濃厚なペースト状になるまでフードプロセッサーを動かす。(コンブパウダーの代わりに海藻の乾物を使う場合には、まず冷水につけて戻しておく。コンブが柔らかくなったら、水気を切り[だしとして使えるので戻し汁は取っておこう]、フードプロセッサーに入れ、ほかの材料と一緒にペーストにする。)

仕上げ

ペーストの3分の1量を大根とネギのボウルに入れる。ゴム手袋をはめた手でペーストを野菜とかき混ぜたりもんだりして、ペーストを完全に行き渡らせ、野菜を均等にコーティングする。別の3分の1量のペーストを、さっきの塩と同様に1枚1枚のキャベツの葉に塗る。この場合も根元の部分にはペーストを多く、柔らかい葉先の部分には少し使うようにする。キャベツの葉がすべてコーティングされたら、大根の入ったボウルの中身を同じ要領でキャベツの葉の間に詰め込む。残ったペーストは別に使うために取っておく。辛くてスパイシーなキムチが好みなら、手順ごとにペーストの3分の1量ではなく半量を使うか、好みに応じてレシピを調整してほしい。

すべての白菜をひとつの容器に入れる。キムチを上から強く押し、中に入った空気を抜く。ふたをするかふきんを掛けて、室温で1日置く。キムチは冷蔵庫に入れて1ヶ月まで保存できる。1~2週間たつと熟成して食べごろの風味になる。(キムチはザワークラウトと同じように、発酵して酸っぱくなったものがおいしい。私たちはキムチをチャーハンやオムレツ、スープなどの料理に使っている。)

スタジオ・オラファー・エリアソン キッチン

*掲載したレシピは『スタジオ・オラファー・エリアソン キッチン』(美術出版社 翻訳/水原文、翻訳協力/岩間朝子)245ページに掲載されたものです。
*開幕延期となっている「オラファー・エリアソン ときに川は橋となる」の展示風景はこちら

・とくに指定のない限り、バターは食塩不使用のもの。
・またとくに指定のない限り、ハーブは生のもの。
・とくに指定のない限り、卵や1個1個の野菜や果物(タマネギやリンゴなど)の大きさは中。
・とくに指定のない限り、砂糖はすべてグラニュー糖、ブラウンシュガーはきび砂糖。
・とくに指定のない限り、生クリームは乳脂肪分36~40パーセントのもの。卵はすべてLサイズ。
・とくに指定のない限り、牛乳は乳脂肪分3パーセントのホモジナイズ低温殺菌牛乳。
・とくに指定のない限り、イーストは生イースト。
・とくに指定のない限り、塩は海塩。特に指定のない限り、パン粉は乾燥パン粉。調理時間はオーブンによって異なるので、参考程度にしてほしい。
・ファン付きの(コンベクション)オーブンを使う場合、オーブンの温度に関してはメーカーの指示に従うこと。
・高温調理、裸火、石灰、そして揚げ物の際など、危険性のある調理法を伴うレシピについては十分に注意してほしい。とくに揚げ物の際には、油がはねないように静かに食材を油に入れること、長そでの服を着ること、そして決して鍋の前を離れないように注意すること。
・一部のレシピには、生またはごく軽い加熱しかしていない卵や肉や魚、そして発酵食品が含まれる。これらの食材は、高齢者や乳幼児、妊婦、療養中の人、免疫の低下している人に提供すべきではない。発酵食品をつくる際には十分に注意を払い、すべて完璧に清潔な器具を使うようにし、疑いがあれば専門家の助言を仰ぐこと。
・例えば料理の仕上げや揚げ物の際に使う油や塩、ハーブなど、量の指定がない場合には、自分の判断で柔軟に決めてほしい。
・ハーブや新芽、花や葉は、すべて清潔な場所から摘んだばかりのものを使ってほしい。食材を野外採集する際には注意を払い、また野外採集した食材は、食べても安全だと専門家が判断した場合にのみ、食べるようにすること。
・レシピでは、メートル法とヤード・ポンド法(英国)の両方で分量を示している。これらは互換性がないので、両方を混ぜて使うのではなく、どちらか片方だけを使うこと。
・とくに指定のない限り、計量スプーンや計量カップの分量はすべてすりきり。小さじ1=5ml、大さじ1=15ml。オーストラリアで標準的な大さじは20mlなので、オーストラリアの読者は少ない分量を量る場合、大さじ1の代わりに小さじ3を使うようお勧めする。