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有識者が選ぶ2024年の展覧会ベスト3:小田原のどか(彫刻家、評論家、出版社代表)

数多く開催された2024年の展覧会のなかから、有識者にそれぞれもっとも印象に残った、あるいは重要だと思う展覧会を3つ選んでもらった。今回は彫刻家で評論家、出版社代表、横浜国立大学教員として活動する小田原のどかのテキストをお届けする。

文=小田原のどか

李和晋個展「新潟」(コ本や honkbooks)展示風景より 撮影=李和晋

「ここは未来のアーティストたちが眠る部屋となりえてきたか?──国立西洋美術館65年目の自問|現代美術家たちへの問いかけ」国立西洋美術館3/12〜5/12

「ここは未来のアーティストたちが眠る部屋となりえてきたか?──国立西洋美術館65年目の自問|現代美術家たちへの問いかけ」(国立西洋美術館)展示風景より 弓指寛治の作品群 撮影=編集部

 2024年は、国立美術館が自館の存在意義を問い直す展覧会が際立った1年であったように思う。国立西洋美術館で開催された同展が「西洋・美術・館」の歴史と未来を問うたいっぽうで、東京国立近代美術館は「ハニワと土偶の近代」展を通じて「近代・美術・館」を自問した。いずれも後世から参照されるであろう意義ある展覧会であり、歴史の問い直しは重要だ。しかしその自問は、美術館の外にも開かれる必要がある。「ここは未来のアーティストたちが眠る部屋となりえてきたか?」では、階段が展示場所となった。その場所での展示は大きな話題を呼んだが、「アクセシビリティ」の観点から、この展示方法が排除を容認していたことを見逃してはならない。出品作家と市民有志によるガザ侵攻への抗議活動に際し、警察の館内での監視を美術館側が看過したことも、繰り返されてはならない深刻な事態である。

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