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「エットレ・ソットサス —魔法がはじまるとき、デザインは生まれる」(アーティゾン美術館)開幕レポート。人々の心を救うためのデザインとは何か【2/3ページ】

初期から晩年にいたる作品を網羅できるコレクション

 本展では、石橋財団のコレクションから117点が会場に並び、5つのセクションにわたってソットサスの仕事を展望できるものとなっている。

ポルトロノーヴァの家具。ソットサスによるデザインの特徴でもあるストライプ状の家具が並ぶ
オリベッティによるポータブルタイプライター「ヴァレンタイン」(デザイン・製作:1968)

 まずセクション1では、1950年代末のイタリア企業との協働を紹介している。当時革新的な家具デザインを生み出したポルトロノーヴァ(Poltronova)やタイプライターで有名なオリベッティ(Olivetti)での仕事を見ても、ソットサスの大胆かつ斬新なディレクションが反映されていることがうかがえる。とくにオリベッティのポータブルタイプライター「ヴァレンタイン」は日本でも愛され、デザイン史上に残る名作としても知られている。

陶器でつくられた「トーテム」シリーズ
トーテムのためのドローイング

 セクション2で取り上げるのは1960年代の活動だ。世界中で反体制的な社会運動が展開されていたこの時代、ソットサスは「人々の心を救うためのデザインをしなければならない」という考えにたどり着いた。そうして制作されたのが、陶器の輪を積み上げることで生み出された巨大トーテムの数々だ。過剰な消費文化が人々の精神を蝕むと考えたソットサスならではの発想だろう。このオブジェは、ソットサスにとって「人々を救済するための道具」として考えられていた。

ソットサスによる写真シリーズ「メタファー」。各写真の下にはソットサスによる思考の断片として言葉が添えられている

 1970年代に入ると、イタリアでは革新勢力と政府間の暴力を伴う対立が多発する「鉛の時代」を迎えた。この頃、ソットサスは活動の拠点であったミラノを離れ、芸術家の友人とともにスペインのカタルーニャ地方へと放浪の旅に出ることとなる。セクション3では、この時期に撮影された写真シリーズ「メタファー」を紹介。デザインを巡る思索に耽っていたソットサスの、哲学的な部分が垣間見える重要なシリーズと言えるだろう。

編集部

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