第4章「試みる それぞれの『郷土』で」では、山本鼎、宮沢賢治、竹久夢二、ブルーノ・タウトらが、それぞれの土地で展開した実践を紹介する。
宮沢賢治は文学にとどまらず、教育、科学、造園など多分野にわたる活動を通して、人びとに幸福をもたらす「ドリームランド」を構想した。竹久夢二が描いた生活と芸術の融合構想や、1930年代初頭にナチス政権を逃れて来日したブルーノ・タウトが群馬で展開した工芸運動もまた、郷土を舞台にした協働の実践として位置づけられる。


最終章となる第5章「ふりかえる/よみがえる ユートピアのゆくえ」では、戦後復興をデザインした芸術と建築、そして高度経済成長期に失われゆく世界を記録しようとした運動を取り上げる。
群馬・高崎で文化活動を主導した井上房一郎と、彼に協力したアントニン・レーモンド夫妻、磯崎新による建築は、戦後の都市再生を象徴する存在である。また、1960年代後半から始まった「デザイン・サーヴェイ」は、日本各地の共同体を実測し図面化することで、芸術と民衆の力を原動力に未来への手がかりを探る試みだった。



本展について大村は、「美しい暮らしを求める20世紀日本のユートピアを訪ね、当時思い描かれた来るべき世界を振り返りながら、今日の私たちがユートピアを思い描く方法を探る、未来志向の展覧会」と語る。
過去の理想をたんなる歴史として回顧するのではなく、混迷する現代において「美しいユートピア」とは何かを考える契機を与える展覧会だ。



















