両親に宛てられたこの13通の手紙からは、勝彦とその家族、ひいてはハンセン病患者・回復者とその家族らが直面した、様々な困難や心情を読み取ることができる。両親からの贈り物が療養所の暮らしでの励みになったというものもあれば、大好きな祖母の死について知らされなかったことへの怒り。さらには、療養所の友人から「生きる意味」について問われ、将来を案じながらも自分で答えを出す姿も、これらの手紙には記されている。


「療養所の入所者からの手紙がこれだけまとまって見つかる事例はほとんどない。というのも、ハンセン病に対する社会からの強い偏見や差別があったために、周囲に知られてしまうことを防がなければならなかったからだと考えられる」と担当学芸員の田代は推察する。そして、「現在もハンセン病に対する差別は続いている。これらの手紙を通じて、家族関係すら許されなかった国の隔離政策の問題を考えるきっかけとなれば」と語った。

写真提供=国立ハンセン病資料館

なお、会期中には関連イベントとして、手紙の朗読会や講演会、映画の上映会の数々が実施される。参加の場合は予約が必要となるため、詳細は公式ウェブサイトをチェックしてほしい。



















