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「岡山芸術交流2025」の見どころは? 「青豆の公園」でつながる非日常と日常【2/6ページ】

旧内山下小学校(校庭・プール)

 今回の会場でもっとも広大な旧内山下小学校(校庭・プール)。ここには大作が揃う。なかでも存在感を放つのが、フィリップ・パレーノが俳優・石田ゆり子と共作した《メンブレン》だ。本作はコンクリート、鉄、ガラス、ケーブルで構成された巨大なサイバネティック・クワー。このタワーは学習型AI とセンサー・ネットワークを搭載しており、温度、湿度、風速、駿音レベル、大気汚染、地殻振動などの環境データを収集。内部プログラムを通じて周囲の状況を知覚し、合理的に解釈する。パレーノが開発した独自の言語を介してコミュニケーションを行うことが可能で、その音声には石田ゆり子の声が使われた。

展示風景より、フィリップ・パレーノ 石田ゆり子《メンブレン》

 藤本壮介の《オープンサークル》は、アーティスト、ティノ・セーガルのためにつくられたプラットフォーム。白く薄い布を、高さの異なる9本の細い柱が支える極めてシンプルな構造。そこで行われるセーガルのパフォーマンスと周囲の環境、そこに集う人々との新たな関係を構築する見事な設計だ。

 日本を代表するコンセプチュアル・アーティストの島袋道浩。プールを舞台とした《魔法の水》は、島袋が13年前にその存在を知って以来魅了されてきたという岡山理科大学の山本准教授とその研究チームが開発した「好適環境水」を使った作品。海水に棲む生き物と淡水魚の共生が可能となるこの水を題材に、世界が必要としている平和的共存の可能性についての考察をもたらす。

展示風景より、島袋道浩《魔法の水》

 日本のヒップホップアーティスト・Awich とフィリップ・バレ—ノ、2人の声が生成的なモジュラードローンの変化する音の上で交錯しながら展開していくサウンドウォーク・コレクティヴの《レナンシエーション・オブ・タイム》にも耳をすませたい。

展示風景より、サウンドウォーク・コレクティヴ with Awich & フィリップ・バレ—ノ《レナンシエーション・オブ・タイム》

編集部