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「千葉国際芸術祭2025」(千葉市内)開幕レポート。日常のなかでアートに出会い、こころをひらく【4/5ページ】

 写真の技術が発明される以前、その現象をイギリスの物理学者は「Words of Light(光の言葉)」と表現したそうだ。アーティストの鈴木のぞみは、言葉が集まる場所でもある旧千葉亥鼻郵便局を会場に、ピンホールカメラの仕組みを体感することができる展示を行っている。

 また、千葉市内のあらゆる場所に存在する「穴」を市民から募集。生活空間という身近な場所にも像が存在することを、ともに体感する参加型のワークショップも実施している。

展示風景より、鈴木のぞみ《Words of Light 光の言葉》
展示風景より、鈴木のぞみ《Words of Light 光の言葉》

 千葉市美術館から道路を挟んで対岸にある旧診療所では、アーティストの宇治野宗輝による20世紀の工業製品を用いたサウンド・スカルプチュアと映像のインスタレーション《House of Homy》を展開している。

 映像のなかで語られるのは、満州に生まれ、今年100歳になった宇治野の母による好物の餃子に関する思い出だ。また、この旧診療所があるのは、かつて「軍都千葉」と呼ばれ、帝国陸軍の施設が設立されたことで近代化が進んだ街。この土地の歴史と宇治野の母の記憶は、戦争によって引き起こされた苦くも甘い両側面でリンクしているのだ。

展示風景より、宇治野宗輝《House of Homy》
展示風景より、宇治野宗輝《House of Homy》