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「千葉国際芸術祭2025」(千葉市内)開幕レポート。日常のなかでアートに出会い、こころをひらく【3/5ページ】

市場町・亥鼻エリア

 千葉都市モノレールを利用して、終点の県庁前駅に降りると、現在は使用されなくなった対岸のホームに、沼田侑香の《パラレルワールド》が展示されている。一瞬実際に人がいるかのように思わされるこのパネルは、見る角度によっては後ろの背景と溶け込んでしまう。かつてあった人の営みや記憶について想いを巡らせるような作品だ。

展示風景より、沼田侑香《パラレルワールド》

 県庁のお膝元にかつてあったという鰻屋。現在は閉業したその食堂・厨房を改装してできたのが「アーツうなぎ」という新たなスペースだ。ここでは、この市場町の近隣で生まれ育ったというクリエイターユニット・岩沢兄弟が、同地ならではの魅力を再解釈するような、作品展示/グッズ販売/ワークショップを行う《キメラ遊物店》を展開している。

 会期中には、同スペースの2階で「ちくわ部」(ちばしで/くわだて/わになって/話す部)と称した対話型ワークショップイベントも実施される予定のため、ぜひチェックしてみてほしい。

展示風景より、アーツうなぎ / 岩沢兄弟《キメラ遊物店》。まるで実験工房のようなスペースで、まさにキメラのように組み合わせられたプロダクトなどが展開されている
展示風景より、アーツうなぎ / 岩沢兄弟《キメラ遊物店》

 アーツうなぎから道なりに歩いていくと、インドとコロンビアを拠点に活動するセバスチャン・トルヒージョ=トーレスとクルーティ・シャーによる建築とアートの実践団体、チャール・チャール・エージェンシーによる《移動式縁側》の試みが、「つくるにわ」というスペースで紹介されている。

 「軽やかなインフラ」をテーマとして掲げる同団体は、日本由来の建築スペースである「縁側」を移動式にすることで新たなアプローチを試みる。会期中には、この縁側を各所に設置することで、市民が参加しながら千葉市について考える場所を創出するという。

展示風景より、チャール・チャール・エージェンシー《移動式縁側》
展示風景より、チャール・チャール・エージェンシー《移動式縁側》