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万博イタリア館が新たな美術品を追加。今回は未来派のジャコモ・バッラ《ボッチョーニの拳の力線》【2/2ページ】

 今回新たに作品が展示されたバッラはボッチョーニの師匠といえる存在であり、絵画、彫刻、舞台美術と多彩な活動を展開。未来派の最初期の宣言に署名して、その思想を確立するうえで大きな貢献をした作家だ。バッラは色彩を線状に分割して配置していく分割主義の技法をボッチョーニに伝授し、ボッチョーニはこれを独自に発展させていった。しかしボッチョーニは1916年、落馬事故により若くして命を落とす。

展示風景より、ジャコモ・バッラ《ボッチョーニの拳の力線》

 新展示の《ボッチョーニの拳の力線》(1916)は、愛弟子の死に衝撃を受けたバッラが1916年に美術誌『イタリア・フューチュリスタ』の表紙に、作家の訃報とともに掲載し、その後未来派運動の公式シンボルとなったイメージをもとにしている。展示されているのは、芸術家の構想どおり、バッラの遺族であるヴィットリオ、パトリツィア、アレッサンドロの監修のもとで制作された、木と彩色したボール紙による限定3点のエディションのひとつだ。

展示風景より、左からウンベルト・ボッチョーニ《空間における連続性の唯一の形態》、ジャコモ・バッラ《ボッチョーニの拳の力線》

 師弟関係を前提に、ボッチョーニ《空間における連続性の唯一の形態》とバッラ《ボッチョーニの拳の力線》が同時公開されるのは日本初の試み。まさに未来派の根幹を強くいまに伝えるものといえる。

 なお、イタリア館は開幕当初からナポリ国立考古学博物館が所蔵する紀元2世紀の彫刻《ファルネーゼ・アトラス》や、日本で二度目の展示となるカラヴァッジョの絵画《キリストの埋葬》、レオナルド・ダ・ヴィンチの素描などの美術品を展示。5月にはミケランジェロによる彫刻《キリストの復活》の展示を開始し、さらに9月に入るとピエトロ・ペルジーノ《正義の旗》を公開していたが、会期最終盤に向けてまた新たな話題が加わったかたちになる。