「KYOTOGRAPHIE 京都国際写真祭 2025」見どころレポート【11/14ページ】

土田ヒロミほか「リトルボーイ」(八竹庵[旧川崎家住宅])

 同じ八竹庵の蔵では、2つの写真が展示されている。

 ひとつは、いまから80年前に人類史上初めて投下された原子爆弾(リトルボーイ)が広島に生じさせた巨大なきのこ雲を、米軍機が記録用に撮影した写真。

 もうひとつは、広島で被曝し亡くなったひとりの女性が着ていた、1着のワンピースを土田ヒロミが撮影した写真だ。写真にはこのワンピースにまつわるストーリーが記されており、被曝遺物と現在の社会を接続させる。

 終戦から80年となるが、世界では戦争が続き、核の脅威も消えることはない。そのリアリティをたった2枚の写真で伝える力強い展示だ。

編集部