スイスで生まれ、フランスを拠点に活躍したコルビュジエは、1930年代のパリで広がった自然界の原理を創作の着想源とする考えに影響を受け、自身の建築や創作活動に反映していった。第1章となる「浜辺の建築家」では、海岸で見つけた貝殻や流木などに見られる有機的なかたち(コルビュジエいわく、「詩的反応を喚起するオブジェ」)をインスピレーション源としたコルビュジエによるスケッチや絵画、そしてアルプによる彫刻やレジェの油彩画もあわせて展示されている。
展覧会タイトルにもある通り、1950年代以降の円熟期となったコルビュジエにとって創作における大きなテーマとなったのが「諸芸術の綜合」だ。すなわち、コルビュジエがいままでメインに手がけてきた建築の領域にとどまらず、家具や日用品、タペストリー、壁画など、その周辺要素が互いに相関関係にあることで、人間の全感覚を満たすひとつの「詩的環境」となることを目指した。第2章では、「遊動する壁画」としてのタペストリーや、世界文化遺産でもあるフランスの「ロンシャンの礼拝堂」、コルビュジエの建築をもとに制作された彫刻作品などが紹介されている。