• HOME
  • MAGAZINE
  • NEWS
  • REPORT
  • 「動き出す浮世絵展 TOKYO」(寺田倉庫G1ビル)開幕レポート。五…

「動き出す浮世絵展 TOKYO」(寺田倉庫G1ビル)開幕レポート。五感で体感する浮世絵の魅力【2/2ページ】

 「麗」の空間は、美人画に革新をもたらした喜多川歌麿や、幕末に庶民から圧倒的な支持を得た歌川国貞など、細やかな仕草と華やかな着物を表現した美人画をモチーフにした空間だ。布の質感や顔の輪郭を表現する豊かな線が、大画面のなかで躍動する。

展示風景より

 「遊」の空間は、子供から大人までが体験を通して江戸の浮世絵に込められたユーモアや想像力に触れられるコーナーだ。裸の男たちが集まって人物の顔をつくる国芳の《みかけハこハゐがとんだいゝ人だ》などをディスプレイ上で組み上げるコーナーのほか、輪投げに釣りといった古くから愛されてきた遊びをここでは体験できる。

展示風景より

 クライマックスとなるのは「雅」の空間。中心に据えられたテント状の立体物が様々な浮世絵のモチーフへと変化する。とくにこの形状を活かしているのが葛飾北斎の『富嶽三十六景』の《凱風快晴》や《山下白雨》に代表される、浮世絵のなかの富士山の表現だ。日本の象徴である富士山が、日本を象徴する美術である浮世絵と重なり合う。

展示風景より

 なお、会場ではイマーシブシアターによる展示のほかにも、本展でモチーフとされた浮世絵師たちを、原作版画を見ながら知ることができる展示もある。体感しながらも、浮世絵に親しむことができる展覧会だ。

編集部

Exhibition Ranking