臼井良平は、日常的な匿名的な出来事や状況をテーマに、とくにプラスチック容器やペットボトルをガラスで精密に再現する作品を制作している。本展では、無機的な都市の風景を思わせる空間のなかで、ガラスでつくられたペットボトルが様々な支持体に置かれたインスタレーションが発表され、観る者に新たな視点を提供している。
2016年頃から、半透明のアクリル板を支持体に、油絵で美しいストロークを生かした作品を制作してきた庄司朝美。昨年からはキャンバスも取り入れ、大型の画面で身体性を強く意識した作品を制作している。本展では、これらの大型作品が国内で初めて公開されている。
庄司にとって、絵を描くという行為は身体そのものの表現であり、大きなキャンバスに描く際、その身体の動きがそのまま絵に反映され、描かれる主体であり、描く主体でもあるという二重の身体性が絵画のなかにある。そこからイメージが生まれ、立ち上がったかたちを追いかけていくと、最終的に出口のような場所にたどり着き、絵が完成する。
展示室の梁では、絵から飛び出したような1羽の黒いカラスも展示されており、展示室内にある望遠鏡を使って見ると、自分だけの目のなかで1枚の絵を鑑賞することができる。また、「藤壺の部屋」と呼ばれる小さな展示室では、庄司は作品がどのように生成されていくかの過程を追体験させる。壁には小さな作品が多く展示され、映像作品も併せて展示されている。