もうひとつの作品《CHORSPIEL》(2010)は、渦巻き状の垂れ幕の中に展示されている。
同作はスウェーデンの森で撮影されたもの。パフォーマンス、演劇、絵画それぞれに特徴的な表現が活人画の形式で融合されており、さらにギリシャ悲劇のコロス(メタ的に状況を説明する合唱隊)の要素も加わる。森と空き地、静寂と合唱、女声と男声などの対比が描かれており、死者の世界と生者の世界という対比も暗示する。
これら2作品を1つの会場で展覧するのは今回が初。ともにモノクロフィルムであること、ワンショットの長回しであること、歌が使われており、家族が主題となっていることなどが共通している。
すべての脚本は作家の「自動書記」によって書かれており、「少ない言葉ですべてが説明されるわけではなく、行間を読むという点において、イメージとしては俳句と近い」とフォン・ブランデンブルクは語る。「映像作品にすることですべての要素をひとつのものとして考えることができる。身体的にも感覚的にも作品に参加し、感覚が開くような体験をしてもらえたら」。
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