江戸時代の後半になると、儒教は学者による講義や子供の教育としても活用されるようになった。さらに、歌舞伎や錦絵の領域においてもパロディとして用いられるようになり、よりカジュアルなかたちで庶民の生活に浸透していくこととなった。「第4章 儒学の浸透」では、鈴木春信による五常をテーマとした錦絵や歌川国芳による《二十四孝童子鑑》といった錦絵シリーズや、工芸品が紹介されている。
「儒教」と言われると難解に思われがちではあるが、その教えや本展のキュレーションは非常に簡潔なものとなっており、鑑賞者が美術品にフォーカスしやすい内容となっている。儒教が現代の生活とどのように通じているのか、そしてその教えはどのように視覚表現されてきたのか。このような点に着目し、鑑賞するのがおもしろいだろう。